[考察] ヴァーチャルリアリティ世界の住民を助ける方法
[考察] ネギま!の矛盾した展開
[考察] 魔法世界ヴァーチャルリアリティ説
[考察] 魔法世界の先住民はどこから来たのか
[考察] ラカンはなぜ明日菜との逃避行に同行しなかったのか
[考察] ヴァーチャルリアリティ世界の崩壊とは
も、今回で最終回です。
今まで長々と考察してきましたが、ここで述べていることは全て「魔法世界は現実には存在しないヴァーチャルリアリティ空間である」という仮定に基づきます。この仮定なら「ネギま!」での矛盾のいくつかが解決できるという考察であって、もしそれ以外の展開が原作から提示されたときには、あっさりと翻されてしまうことでしょう。
しかし、もしこの仮説が正しいとしたら、それこそ崩壊が確実な魔法世界から、彼らを救出する方法は存在しないということになります。それではラカンやテオドラを始めとする魔法世界の住民や亜人たちがあまりにも哀れすぎます。彼らを救う方法は、本当に存在しないのでしょうか。
それを考える前に、1つ言及したいことがあります。それはネギま!における召喚魔法とは、実際にはなんなのかという問題です。
ファンタジーにおける召喚魔法とは、普通は「こことは別の異世界から、魔物や悪魔を召喚する魔法」と定義されています。実際ネギま!でも、千草に召喚された魔物やヘルマン伯爵たちは、召喚が解けたときには自分たちの国に還るような言動をとっていました。
しかし、魔法世界が魔法で作られたヴァーチャル世界であり、そこに住む亜人たちは魔法で作られた擬似生命体に過ぎないという仮説を取り入れると、魔界や地獄といった異世界も現実には存在しないのではないかという疑問が生じます。すなわち、
召喚魔法とは、異世界に棲むといわれる魔物や悪魔たちを、その記憶ごと一時的に造りだす魔法に過ぎない。
という仮説です。
ヘルマン伯爵が自分の国に帰りいずれ復活するというのは、そういうヘルマンの記憶と能力を持った同一存在を新たに造りだすということであり、ネギが血のにじむような思いで覚えた上位古代後魔法とは、そういうヘルマンとの同一個体を召喚する魔法そのものを消滅させる呪文である、と解釈することも可能です。
正直、自分でも苦しいかなと思う仮説なのですが、これを認めると逆に、術式さえ成立させてしまえば、魔法世界すなわちヴァーチャルリアリティ空間の人間や亜人でも現実世界に存在させることができる、と解釈することも可能になります。
もちろん、単純な魔法ではそれを実現させることは難しいかもしれません。一時的にならともかく、11億以上もの人間や亜人をサポートするだけの術式を構築することは難しいかもしれません。全ての真実を知っていると豪語するゲーデルが11億もの人間や亜人を見捨てざるを得ないと判断したのも、その魔法の知識が導き出した結論なのかもしれないのです。
しかしネギにあってゲーデルにないものがあります。それはネギが、魔法と科学の融合技術が存在する(あるいは将来成立する)ことを知っているということです。あるいは、科学の力で魔力を使用する技術と言い換えてた方がいいかもしれません。魔法だけでは不可能とされていることでも、科学のサポートを受ければできるようになるかもしれません。そしてそれは、カシオペアにおける時間移動技術において既に実証されています。。
そしてネギま!世界では、仮想空間の人間を実体化させる技術が既に存在しているのです!
……いたいいたい、石を投げないで。
いや冗談抜きで説明しますが、これは赤松健の最初の連載作「AIが止まらない!」です。この作品の主人公、神戸ひとしは、パソコンで作成した人工知能プログラム=サーティを偶然実体化させることから話が始まるのですが、のちにひとしは自宅に設置してあるスーパーコンピュータを使って、人工知能を現実世界に実体化させる実体化モジュールの技術を確立しました。
AIの話なんてネギま!には関係ないだろというかもしれませんが、ところがどっこい、ネギま!とAIは微妙なところで話がクロスしているのです。
このシーンの葉加瀬が言っている、MITの天才日本人兄妹のうち兄の方が、神戸ひとしを指しています。となると、AIにおいて人工知能が実体化したのは、魔法における召喚魔法と同じ処理を、パソコンによって行ってしまったと考えることはできないでしょうか。
すると超が言っていた、魔法をバラすことによって未来に発生する悲劇を避けるという言葉の意味も、魔法世界から避難してきた6700万人の(人間の)魔法使いがもたらす混乱に現実世界側が対応するためという意味合いではなく、魔法世界とともに滅ぶ運命にある4億3300万人もの人間、7億もの亜人たちを救い、現実世界にて実体化させるための技術を、現実世界の科学によって確立させるためというまったく異なった解釈が可能になるのです。
超はその役目を、ネギに託しました。そして現在、ネギはその役割を果たそうとしているのです。
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