乃木坂春香の秘密 第11話 「…お待たせしました♪」 (9/17)
原作第3巻第11話を中心に、第10話の内容も少し取り入れて放送しました。
第10話の内容は原作では美夏と秋葉原で春香の誕生日プレゼントを買うという話だったんですけど、アニメでは裕人が単独で買いにいく話に変更されていますね。今回の春香の誕生日パーティをアニメシリーズのクライマックスに持ってくるために、アニメ第8話の内容が大幅に変更になったのでしょうね。
秋葉原で裕人が買ったのは、信長の勧めもあって、ドジッ娘アキちゃん最新バージョンのフィギュアでした。ところが実際に乃木坂家のパーティに言ってみれば、南海の無人島を購入して古城を建ててるわ、招待客には各界の要人がずらりと並んでいるわ、裕人とは住んでいる世界が違うとしか言いようがない人たちばかり。さらにはシュート・サザーランドと名乗るアホボンの贅を尽くした春香へのプレゼントを見せ付けられてしまい、裕人は場違いを感じてしまう
傍で見ていると、この裕人が感じている場違いは完全な思い違いなんですけどね。春香が裕人に求めているのは何かを考えればそれは決してあのアホボンたちが持ってるものではないでしょう。そしてなによりあのアホボン、分不相当なお金と地位を持ってるだけで、やってることが白城学園の春香親衛隊たちと全然レベルが変わらないぞ。
先週はこの作品がラブコメとしては話が盛り上がらないという弱点を抱えていると説明しました。しかし逆に言えば、この作品の本当の面白さというのは、この二人の波風の立たない関係によって保証されているとも言えるのです。どこにでもいる普通の庶民の裕人と、周りから完璧なお嬢様と見られていた春香が、秘密を共有することで知り合って相手のことを理解していく。この相手の本当の姿を理解していき、それによって二人の世界が広がってお互いがどんどん変わっていくというのが「乃木坂春香の秘密」の本当の物語なのですよ。この裕人と春香の関係は、「マリア様がみてる」における福沢祐巳と小笠原祥子の関係に近い。こういう物語構造をしているのだから、逆に周囲に二人の関係を引っ掻き回すような悪役は存在してはいけないのです。だから裕人と春香の仲を嫉妬するような輩は最初からモブキャラ程度の存在か、逆にアホボンのような使い捨てキャラぐらいにしか登場できない。玄冬氏は娘と馬の骨との仲の障害となるキャラですが、所詮は父親の反対ということで、最終的には二人の仲を認める役回りになっています。もし本当に本気なら春香に身分相当の政略結婚の相手を用意してやれば済むだけの話なのに、その様子が全然見られないことだけでも玄冬が本気になっていないことが分かるし、なにより母親の秋穂に頭が上がらないという保険までついている。こうして、裕人と春香は誰にも邪魔されない環境で(せいぜいが囃し立てられるだけで)、少しずつお互いに対する理解を深め合っていくのがこの物語の本筋なのです。
残念なのは、アニメの制作がこの話の面白さを理解しきっていないところですね。だからお嬢様がアキバ系という表面的な意外性やら、ダメ姉とかダメ教師とかファンキーな乃木坂家メイド隊たちが絡んで巻き起こすドタバタコメディという表面的な面白さにばかり重点を置いていってしまう。そもそも原作者の五十嵐雄策自身がこの作品構造に自覚的かどうかも怪しいので、制作側が理解できていないのも仕方ないかもしれません。ファンのアニメの評価が散々になってしまうのも、無理の無いことかもしれません。
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