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2008年8月12日 (火)

[考察] クラスメート編が描いてきたもの

 [考察] ネギま!のもう一つの主題
 [考察] キャラクターものにだって主題はある
 の続きです。

 前回ではネギま!においては、「ネギの父親探し」という本筋と「ネギとクラスメートのドタバタコメディ」という形式が同じくらい重要であることを説明しました。そしてその上で、キャラクターものとしてのネギま!にも主題が隠されているのではないかと疑問を提起しました。
 今回は今まで描かれてきた主要なクラスメート編のエピソードに繰り返し描かれてきた共通点を探っていきたいとおもいます。

 まず、原作で最初の長編エピソードとなったエヴァンジェリン編。この話におけるエヴァの目的は、ネギの血を吸って登校地獄の呪いから解放されることでした。

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 それに対してネギがエヴァに要求したことは、きちんと授業に出てくることでした。

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 すなわちエヴァンジェリン編における話の構図は、3-Aから勝手に出て行こうとする問題児エヴァンジェリンを、ネギが阻止してクラスメートの一員であることを認めさせようとする話であったということができます。

 

 次に修学旅行編ですが、このエピソードの主役は刹那と木乃香でした。木乃香のピンチにギリギリまで追い込まれた刹那は今まで隠していた烏族の羽をネギたちの前でさらす事を余儀なくされます。その正体を隠していた理由の1つが「正体を知られたらお別れしなくてはならない」という烏族の掟でした。

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 それに対して刹那が本当に去ろうとしたときには、ネギは体を張って刹那を止めようとしました。

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 ここでもネギ(や明日菜)は、刹那の正体を踏まえたうえで刹那が勝手にクラスから出ようとしているのを(うやむやのうちにですが)キチンと引き止めています。

 

 さらに麻帆良祭編で、ネギたちに計画を防がれた超が未来に帰ろうとしたときに、それを引き止めるためにネギが言った言葉がこれです。

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 最終的には超はネギの引きとめを断って未来に帰ってしまうわけですが、強制認識魔法をつかって全世界に魔法バレを引き起こそうと画策した超の立場を考えると、そのまま現代に残るというのは難しかったのかもしれません。しかしネギは、そんな超の立場を慮った上で、それでも超が現代に、そして3-Aのクラスメートとして居残ることが出来る道を用意しようとしていたのは事実でした。

 そもそも麻帆良祭編は、3-Aのクラスメートが敵味方のグループに分かれて戦うという点でも異色な話でした。作戦が成功すれば麻帆良学園の魔法使いは全員責任を負わされるほどの大事件だったのです。

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 にも関わらず、超側に加担した生徒(真名・葉加瀬・茶々丸・途中までの朝倉)は全員お咎めなし。それどころか、学園祭での事件は無かったことにすらなっています。

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 そして2日目のネギと超との対峙で、超のカラクリ拳法に楓と刹那が追い詰められたとき、楓がとった手段は超をお別れ会に招待するというものでした。

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 その瞬間、ネギと超との対峙は世界中に魔法をバラそうとするテロリスト(革命家)とそれを止めようとする治安維持派(保守派)の対立から、超との別れを惜しむクラスメートたちへと話が落とし込まれたのです。そしてこのお別れ会が伏線として機能したからこそ、麻帆良祭3日目のネギが用意した舞台に、何のメリットもないのに超が乗ってきたわけなのです。

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 この時点で超側に、ネギの用意した舞台に乗る理由は全くありませんでした。しかしネギが用意したシナリオは、「学園を退学する超のためにネギがイベントを設定した」というものです。魔法バレを巡ってクラスがバラバラになるかもしれなかったこの大事件は、超がネギの用意したシナリオに乗ってきたことで、3-Aのクラスメートにとっては超との別れを惜しむための最後の大イベントにまで話が落とし込まれたのです。

 

 ここまでくれば、ネギま!がクラスメート編で繰り返し描いてきたものが何かが分かるでしょう。エヴァ、刹那、超と次々に問題を起こしていくクラスメートに対し、ネギは繰り返しクラスの仲間でいましょうと呼びかけています。クラスがバラバラになる危険があった麻帆良祭編を経てなお、ネギは張本人の超に対してクラスメートの一員のままでいられるように手を差し伸べています。それでも超だけは未来へ帰っていってしまうのですが、それすらも仲の良かったクラスメートが一人いなくなったというレベルにまで話が落とし込まれているのです。

 すなわち、クラスメート編が描いている「ネギと31人のクラスメートの物語」としての主題は、
 「3-A(2-A)の日常を守る」
 ということになるのです。

 追伸:
 いろいろ考えた結果、どうやら一周してMasaxaさんの考えに近づいてしまったようです。でも記事はまだまだ続きます

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コメント

なるほど。そうすると、魔法世界編は最終的に「アスナを連れて還ろうとする話」になりそうですね。
もしそうであるならば、「いいんちょが敢えて来ていない」ことの意味はけっこう大きいのかな、と思いました。

投稿: Iuth | 2008年8月12日 (火) 13時19分

Iuthさん
結論を先に言われてしまうとつらいのですが、まさしくそう予測しました。魔法世界編が本当に明日菜編になるなら、最終的には明日菜の身の振り方が問題になるだろうと。
あやかは明日菜の相手役にしてクラスの委員長(リーダー)ですので、3-Aの日常を守るという点では重要な立ち位置になると私も思います。

投稿: JUN | 2008年8月12日 (火) 22時45分

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