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2008年7月13日 (日)

[考察] 魔法世界編とは神楽坂明日菜編である

 ネギま!の本筋はネギの父親探しであるはずなのに、実際にはネギが全然父親を探せていない魔法世界編。その疑問を考察したシリーズ
 [考察] ネギま!の本筋とは何か?
 [考察] 魔法世界編は本筋をないがしろにしているのか
 [考察] ネギま!に不可欠な亜子の物語
 [考察] 千雨はなぜ魔法世界編のメインヒロインになれたのか
 [考察] 夕映が記憶喪失になった理由
 の結論です。

 何度もいうようですが、もともとネギの無茶を引き止める役割は、まずメインヒロインである明日菜が果たすべきでした。明日菜はそのためにネギま部(仮)を設立し、その趣旨を「みんなでネギのお父さんを探し出して、ちゃんと学園に戻ってくる」ためと説明しています。
 また、イギリス旅行へとぐずるあやかたちを最終的に説得したのも明日菜ですし、実際に明日菜はあやかにネギを連れて帰ることを約束しています。そのままネギたちがフェイトに襲われるようなことがなかったら、明日菜はメインヒロインのままでいられたでしょう。
 にも関わらず、魔法世界編でネギの背中を押して、ネギの無茶を引き止める役目を果たしているのは千雨なのです。明日菜はその間、ネギと合流できるまでは別行動を取らざるを得ませんでした。

 それはなぜか。

 実は今までにも、本来メインヒロインである明日菜が果たすべき役割を、別のヒロインが代行したことがありました。まほら武道会における桜咲刹那です。
 明日菜はネギが自分ひとりで何もかもやる気でいて周りのことが見えていないことにいらだち、まほら武道会で対戦して周りのことも振り向かせるようひっぱたいても説得してみせるといきまいていました。

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 にもかかわらず、実際にネギに準決勝で対戦して、ネギに周りのことを見渡すように説得したのは刹那でした。

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 では、なぜ明日菜は説得することができなかったのか?
 それは刹那に試合で負けたからではありません。確かに純粋な実力では刹那の方が上なのですが、まほら武道会では(特にネギ関連では)実力の強い方が勝つとは限りませんでした。実際、ネギは実力で数倍もの差があるタカミチに勝利してますし、エヴァ対刹那も純粋な実力ではエヴァの方が上でした。明日菜対刹那だって、明日菜が勝てる筋道はちゃんと用意されていたはずなのです。
 明日菜が負けた理由。それは明日菜が自分にまつわる過去を思い出してしまったからです。
 明日菜には明日菜の抱える問題があります。普段の明日菜にはその記憶がないためネギのことを心配していたりもするのですが、本来明日菜が抱えている物語は凄く重いものだと推察されます。その記憶の断片が1つ思い浮かんだだけで、それを忘れて錯乱してしまうほどに重い記憶なのです。

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 その瞬間、明日菜はネギを説得する資格を失ってしまいました。本来ネギにとってのヒロインは、ネギの背中を後押しし、ネギの無茶を押さえる役割を果たす者なのです。その明日菜自体が自分の物語に振り回されてしまっては、ネギのヒロインは務まらないのです。だからネギを説得するという役割は、明日菜から刹那へと受け継がれたのです(その刹那にしても、本当にネギを説得する資格があるのかをエヴァに問われてしまったわけですが)。

 現在、ネギのヒロインの役割は明日菜から千雨へと受け継がれています。

 そしてその答えは最初から原作に描かれていました

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 19巻、夏休み編の冒頭のシーンは、明日菜の回想シーンから始まっています。明日菜はそれを単なる夢だと解釈していますが、実際には過去に経験した明日菜の失われた記憶であることは読者に分かるように描かれています。このシーンは、これから始まる夏休み編が、そしてその一部である魔法世界編が、明日菜の物語を描くものであるというこれ以上ないほど明確な作者からのメッセージなのです。

 そして明日菜の物語といえば、自分の失われた過去と記憶に関わることは明らかです。そしてその失われた過去は、全てを捨てて得られた現在の幸福と引き換えにするほどの重いものです。それが戻ったとき、そのとき明日菜は魔法世界における黄昏の巫女姫、アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオヒュシアとしての責任と、麻帆良学園における一人の女子中学生、神楽坂明日菜としての日常の間で天秤が問われるのに違いありません。

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 だからこそエヴァが、ネギま部(仮)の名誉顧問に就いて最初に試した相手がネギではなくて、明日菜だったのです。それは明日菜の背負う宿命が“普通の女子中学生”には耐え難いものであることを知ったエヴァなりの心遣いでもあったからです。

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 だからこそフェイトたちは、明日菜の正体を既に知っているようなそぶりをしているのです。フェイトの目的は現在のところ不明ですが、明日菜を「お姫様」と呼んでおり、また最終的な目的地がオスティアであることも分かっています。すなわち、その目的に多少なりとも明日菜の正体が関わっていることを暗示しているのです。

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 だからこそ運動部+1の5人が、明日菜たちの後を追ってきたのです(まき絵たちの動機には、明日菜たちだけがネギの後についていくのはずるいという気持ちが含まれている)。確かにまき絵たちは、ネギの父親探しという目的を共有してはいません。しかし同じクラスメートである明日菜が、自分の抱える物語に捕らわれることなく麻帆良の日常を取り戻すためには、非日常を受け入れた白き翼のメンバーだけでは全然足りません。魔法の世界を知らなかったまき絵たちだからこそ、明日菜を麻帆良へと連れて帰る日常の象徴としての援軍となれるのです。

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 そしてだからこそ、魔法世界編におけるネギたちの目的は、仲間を全て見つけ出して、全員で麻帆良に帰ることなのです。その目的を明日菜が口にしているのは決して分不相応な大言や自分の責任を感じていない者の妄言などではありません。明日菜自身がそう言うからこそ、明日菜が自分のもつ物語に捕らわれず、ネギま部(仮)の部長として、3年A組のクラスメートの一員として麻帆良に戻ってこれるかどうかかの伏線となりうるのです。明日菜の持つ物語は、クラスメートの誰と比べても重いものなのです。明日菜以外の誰が言っても、このセリフは意味を持ちません。明日菜自身が言うからこそ、意味を持つのです。

 このように、全ての伏線はネギよりも明日菜のために張り巡らされています。ネギま!の本筋は確かにネギの父親探しです。しかし本筋とはいずれ描かなければならないものであっても、それだけを描かなくてはならないものではありません。そして今までの描写から、明日菜の物語はネギの父親の失踪と密接に関わっている可能性が高いことは容易に推測できます。だから明日菜の物語に関わる情報の一部として、ネギの父親に関する情報があっさりと(ラカンから)手に入ったりするのです。

 結論をいいます。
 魔法世界編とは、神楽坂明日菜を主役とするクラスメート編なのです。

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コメント

初めまして、機械オンチの30代と申します。
考察について興味深く読ませて頂きました。
私自身が考える「魔法世界編」について書かせていただきます。
1.メインは誰か
これは前半(ネギ/夕夏)・後半(ネギ/明日菜)に分かれると思います。後半はまだ始まったばかりなので、前半だけ書きます。
前半パートは、
ネギ・・・戦闘能力UPの為のストーリー
夕映・・・夕映を通じて過去の歴史を教えるストーリー
であり、千雨や運動部はあくまでサブのままであると思います。
2. 運動部+αを何故止めなかったか
初めに書きます、止めるのは無理。麻帆良武道会でもバッチ争奪戦でも、ルール無視であらゆる手を使う連中を止めるのは至難の業であると。では、運動部+αは今回のストーリーに必要だったか、と聞かれれば必要だったと答えます。理由は後述します。
3. 魔法世界編の意味とは
簡単に書けば、第1部の疑問に対する答えと置き去りにされていた話の回収だと思います。
疑問とは「紅き翼」「敵の正体」「明日菜の過去」「先の大戦の真実」これらの答えを出す為に用意された舞台であると思います。
置き去りにされた話とは、運動部+αの個々の話の事です。個々のストーリーついては長くなるので省きますが、魔法バレ・正体バレさせるのに魔法世界編という舞台は使いやすいと思います。2学期以降に持ち越せば、物語を展開するのに足かせになる可能性が高いと思うからです(つまりグダグダになる)。よって彼女達は必要だったと思っています。
以上が、現時点での私の考えです。残念ながら、この話がクラスメート編であるかどうかはまだ結論が出ていません。当然、展開次第であっさり考えが変わります。
こんなまとまらない長文ですみません。


投稿: 機械オンチの30代 | 2008年7月13日 (日) 02時37分

機械オンチの30代さん
始めまして
確かに今の時点で魔法世界編がクラスメート編、それも神楽坂明日菜編であると断定するのは早いのかもしれません。しかし、私なりにいろいろ考察していった結果、こう考えた方が一番しっくりくると思ってこういう結論に達しました。
当然、今後の展開次第では私の考えも変わる可能性があります。
この考察を進めていくうちに、本筋を「ネギの父親探し」とするだけでは少し視野が狭かったかなと思うようになってきました。

投稿: JUN | 2008年7月13日 (日) 15時31分

ありがとうございます。
Maxasaさんのブログにも書かせて頂いたのですが、私自身本筋は「父のようになる(父を追う)」という考えを変えてはいません。魔法学校から与えられた課題は立派な「先生」になる事なので、優先順位では第1位だと思います。
今の夏休み編は「先生」ではなく1人の子供が、抑えきれない感情で動いているので、本筋が見えずらいのかもしれません。
ネギが何故「先生」という課題だったのかはクライマックスにならないと解らないと思っています。(ネギドラでいえばOPが実は最終回に繋がっていたという演出と似た感じ)
個人的な裏テーマとして、
第1部・・・「ネギ」と「生徒達」の関わりの始まり
第2部・・・「ネギの感情の暴走」を「生徒達」がどう向き合いどう接するか
というのを考えています。

投稿: 機械オンチの30代 | 2008年7月13日 (日) 20時38分

訂正
Maxasaさん→Masaxaさん
失礼しました

投稿: 機械オンチの30代 | 2008年7月14日 (月) 11時18分

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