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2008年6月19日 (木)

[考察] シチュエーションコメディになってしまったアニメ第2期「ネギま!?」

 [考察] ネギま!のテレビ化はなぜ失敗するのか
 [考察] 「魔法先生ネギま!」が持つ構造的な問題
 [考察] クラスメート編はネギの父親探しにとって「無用の用」
 [考察] ネギま!のテレビ化はなぜ別物になってしまうのか
 [考察] 原作の舞台を使って全く別の作品を作り上げたアニメ第1期「魔法先生ネギま!」
 の続編です。

 

あらすじ

 偉大なる魔法使い、サウザンドマスターを父に持つ10歳の少年ネギ・スプリングフィールドは、一人前の魔法使いになるための最終試験として麻帆良学園3年A組の担任を1年間勤めることになる。着任早々父親との因縁のあるエヴァンジェリンと対決することになるが、生徒の一人明日菜の協力を得てこれを退ける。
 赴任後しばらくして、ウェールズでスタークリスタルが奪われるという事件が起こる。時を同じくして麻帆良学園で、闇の精霊にクラスメートたちが次々と操られる事件が発生する。事件はついにクラスメート全員に魔法がバレ、さらにその全員が異世界に閉じ込められるという事態にまで発展する。スタークリスタル事件の黒幕が幼馴染のアーニャと知ったネギは、クラスメート全員の力と、駆けつけてきた父親に助けられてアーニャを助けることに成功する。
 現実世界に戻ったネギは、父親の後を追うために改めて一人前の魔法使いになることを決意する。

 アニメ第2期のタイトルが「ネギま!?」なのは原作からは変えていくという制作側からの宣言でした。実際第2期では、明日菜がチュパカブラに夢中になったり、裕奈がミリタリーマニアになっていたり、ちづ姉が夏美をいじり倒すようになったり、ザジが寒いダジャレを口にしたりと、クラスメートたちのキャラクターの改変が多岐に渡りました。また魔法の設定も、原作とは全く概念の異なるネオ・パクティオーカードなるものが登場しており、アニメオリジナルを主軸に展開していきました。

 しかしそれでも、敢えて断言します。3本のテレビシリーズの中で「ネギの父親探し」という原作の主題(テーマ)と最も向き合っていたのは第2期「ネギま!?」なのだと。

 スタークリスタルとかネオ・パクティオーカードとか黒板のラクガキネタとかオリジナル要素満載でやりたい放題だった第2期「ネギま!?」が実は一番原作に忠実だった、というのは冗談だろと思われるかもしれませんが、それをこれから説明します。

 第2期は第1話で既にネギの父親がサウザンドマスターと呼ばれるほどの偉大な魔法使いであることを明確に伝えています。

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 またネギが真祖の吸血鬼であるエヴァンジェリンといきなり対峙することになったのも、父親ナギを通しての因縁があったからです。

 そしてスタークリスタル事件のときにも、スタークリスタルはサウザンドマスターにも扱いきれなかったことが言及されていましたし、

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 黒薔薇男爵の気配を初めて感じ取ったとき、ネギは彼の正体が父親ナギだということを真っ先に疑っていました。

 スタークリスタルの魔力からネギとアーニャを最後に助けたのはサウザンドマスターでしたし、

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 最終回のテーマはそのものずばり、「ネギの父親探し」でした。

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 つまり第2期においては、ネギが魔法使いを目指したのは父親の後を追うためであることも、ネギの父親探しに一応の決着をつけたこともきちんと描かれています。確かにシリーズを通してメインに描いていたエピソードではなかったですが、伏せ筋ではあっても確かに「ネギの父親探し」が主題・本筋だったと言うことができるのです。

 それでは、シリーズのほとんどを占めるスタークリスタル編は何だったかというと、ネギの父親探しを本筋として見るならば、それはアーニャをヒロインとしたクラスメート編なのです。それは原作における修学旅行編が刹那・木乃香編であるのと同様に、また麻帆良祭編が超鈴音編だということができるように、本筋である「ネギの父親探し」には直接関与しないが、その事件をきっかけにしてクラスメートとの絆を高めあうエピソードなのです。
 26話中22話(第4話~第25話)を占めるスタークリスタル編がクラスメート編、要するに脇筋であるというのはいささか乱暴なのかもしれませんが、それを言うなら原作第1部18巻のうち半分を占める麻帆良祭編も同じでしょう。あれほど盛り上がった超鈴音編も後から見返してみると、本筋である「ネギの父親探し」には直接関与しないエピソードであり、つまりは脇筋でした。しかしながらその脇筋を通して、夕映やパル、千雨といった新たな仲間たちとの信頼関係を構築しています。

 そしてスタークリスタル編を通してネギとの信頼関係を築いたクラスメートたちは、ネギの父親探しに協力を申し出るようになる……といいたいのですが、そこが問題なのです。

 確かにクラスメートたちはネギの父親探しに協力を申し出てネギもその信頼に答え、最終回ではクラス全員と契約執行を行いました。

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 だがその契約執行でクラスメートが実際には何を行っていたのかと言うと、

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 自分の衣装についてきた変なジュースを親友に試飲させたり、

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 ネットアイドルのコスプレ衣装としてホームページ更新のネタにしたり、

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 友達とスケ番刑事ごっこで遊んでたりしています。

 これが最終回にもなってネギとの信頼関係を構築したパートナーのすることですか!?

 これは契約執行をしたからと言って、具体的に何をすればネギの父親探しの手伝いになるのかを指示できなかったというネギのリーダーシップの欠如によるものでもありますが、同時にクラスメートたちにとっても、ネギの父親探しにそこまで切迫した危機感を覚えていないということでもあります。つまり、父親を探すためならばひとりでどこまでも突っ走ってしまう原作ネギの一途な性格からくる危うさが描かれていないため、クラスメートの側も何が何でもネギの無茶を止めるという必要性を感じていないのです。

 確かにクラスメートたちは、スタークリスタル事件ではネギのパートナーとして、一人で頑張るネギのピンチを助けたりしています。

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 しかしこれも見方を変えれば、クラスメートたちもスタークリスタル事件に巻き込まれた当事者であり、事件解決のためには好むと好まざるとに関わらずネギに協力しなければならない立場だからということができます。そもそもシリーズ中盤でクラス全員に魔法バレしてからの展開では、ネギは異世界に放り込まれたクラスメート全員を現実世界に帰すために奮闘してるのだから、クラスメートたちも事件解決のためにネギに協力するのはむしろ当然といえます。
 そしてネギ自身も、スタークリスタル事件が起こっている間は自分の都合である父親探しよりは、事件を解決してクラスメートたちを現実世界に戻すことを優先しています。この点は父親のことを持ち出されると目の前に起こっている事件を忘れてしまいがちな原作のネギとは違って分別のある性格だといえるでしょう。
 結果としてネギとクラスメートの間にはともに事件を解決した仲間同士としての信頼関係を構築することは出来ました。が、そこまでです。だからこそネギの事情を知ったクラスメートたちはネギの父親探しにも協力的なのですが、ネギから目を離すと危ないという危惧までは抱いていないので、自分が居ても役に立たないと判断できるときには平気で別行動をとることができるのです。

 そもそもメインヒロインたる明日菜にしてからが、

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 幻想世界での事件解決よりも黒薔薇男爵の衣装に夢中になるようなメンタリティーの持ち主だからなあ。他のヒロインにいたっては推して知るべきでしょう。

 「ネギま!?」における明日菜は完全魔法無効化能力を持っておらず、事件に関わるキーキャラクターでもなく、31人いるクラスメートの代表格という程度の位置づけにしか過ぎません。クラスメート31人全員が対等なヒロインであり、全員に見せ場を与えるという第2期のコンセプトからすれば明日菜のこの性格改変や設定改変はむしろ当然の扱いなのですが、その結果各クラスメートたちのエピソードが、与えられた状況下でどのような“らしい”行動を取るかというシチュエーションコメディにもなってしまいました。

 シチュエーションコメディですので、当然ネギ先生がクラスメート関係のエピソードに絡まなくても話は成り立ちますし、エピソードを経ることで登場人物間の関係が再構築される歴史の積み重ねも起こりません。つまり第2期においては、各クラスメートのエピソードが本筋であるネギの父親探しには絡んでこないのです。

 結論として、アニメ第2期「ネギま!?」とは、
 「クラスメートのキャラクターを描くシチュエーションコメディ」という作品コンセプトと
 「10歳の少年が父親の後を追いかける少年冒険譚」という主題・本筋が
 バラバラに描かれた物語だと言えるでしょう。そしてその作品構造の欠点を、その高い完成度とあらかじめ原作とは別物にすると宣言するプロモーションで見事にごまかしきってねじ伏せた作品ということができます。

 では、このアニメ第1期と第2期を踏まえて制作されたドラマ版「魔法先生ネギま!」はどうなったのかを明日説明します。

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